研究テーマ設定の背景
大学院生の頃は、糖尿病患者さんへの運動介入の効果を研究していました が、大学院を修了するころから、疫学の世界に興味を持ち始めました。それ以 来、自分の研究コホートを立ち上げ、健康づくりを対象者と一緒に進めなが ら、疫学研究や介入研究をすることを目標に歩んできました。研究テーマの設 定は、その時代の流れや傾向、対象者や地域のニーズに合わせて変化させて いますので、背景も様々です。
研究手法
研究では疫学手法を使っています。疫学はヒトの健康に関する集団的な事 象やそれらに影響する要因を明らかにし、健康関連の諸問題に有効な対策を 科学する学問です。様々な研究デザインを使って事象や関連要因を明らかに しますが、主には横断的研究(一時点の事象・関連を検討する)、縦断研究(事 象・関連を複数点で検討する)、前向き追跡研究(事象の発生を検討する)、介 入研究(ターゲット因子への介入による事象の変化を検討する)を使ってお り、研究の目的に合わせて設定しています。
調査対象や調査地についての解説
調査対象や調査地は、自分から選んで決定しているというよりは、ご縁を いただいた調査対象や調査地で、求められること・できることを行うことが 多いです。現在関わっている研究コホートも、地域や行政が抱える諸問題につ いて、実態を調べ、対策を考え実現していくようなテーマが設定されていま す。
分析のためのソフトウェアやツール
SASを使用しています。また、たまにSTATAを使用しています。
研究についてのこだわり
「研究のための研究をしない」ことを心がけています。
研究生活で最もわくわくしたこと、逆に最も落ち込んだこと
高齢の対象者が元気になっていくお姿がみられることは、とても嬉しく思います。また、分析では、仮説設定段階の 想像を超えた興味深い結果が得られた時に、その結果はどのように解釈できるのか、を考えるときはわくわくしま す。
最も落ち込んだことは、、、すぐに忘れてしまうので、覚えていません。
研究生活で出会った印象的な人物やエピソード
大学院生の時代に、たくさん国際学会に参加したことです。経済面は苦労しましたが、いろいろな国や人々と接す ことが出来ました。また、世界の研究者のプレゼンや考えをリアルに聞いたこと、身振り手振りで懸命に質問したこ とは、今でも大事な経験です。苦労して良かったと思っています。
大学院生へのメッセージ
いろいろなことに興味を持ち、広い視点で自分の研究について、考え抜いてほしいと思います。
大学院生の時何をしていたか
物事がなかなか線で理解することが出来ず、点ばかりでした。自分が何をしようとしているのか、自分の研究をど うまとめたいのか、など考えを思い巡らしていたように思います。頭でっかちになって、行動できていないことが多 かったように思います。
学際連携についての思い
とてもよい取り組みだと思います。昨今は、誰もが簡単に情報が得られるので、自分で取捨選択しなくてはいけま せん。これは効率が良い反面、情報(知識)に偏りが生じやすいと考えます。様々な分野が連携することによって、広い 視点から研究を考えることができるので、このような連携の機会は、これから大事になると考えます。
今後の研究・実践活動について
引き続き、研究を通して、人々の健康づくりを考えていきたいです。 それとともに、研究とは全く関係のない活動も実践してみたいと思っています。
おすすめの文献
特にございません。


活動概要
教育では、学部生対象の基幹教育科目(健康・スポーツ科目)において心身の健康づくりの知識や評価の手法を伝えるとともに、リーダーシップやコミュニケーションのスキル向上に努めている。また、同教育科目(フロンティア科目)において心身の健康のエビデンスを日常生活に活かす方法を講義している。大学院生対象には、運動生理学や運動適応学の講義を担当している。 研究では、福岡県糸島市で疫学研究を継続しており、地域住民における身体活動や運動機能がフレイル(虚弱)や要介護状態に与える影響について様々な観点から研究している。また、糸島市および企業と協働して、産・官・学の3者によるフレイル予防・介護予防事業を展開し、フレイル予防運動教室、フレイルチェックシステム、フレイル予防市民リーダー養成を行っている。これらの取り組みにより、介護予防のための運動のあり方に関する科学的エビデンスの公表と、地域に根ざした・地域で活きる介護予防の仕組みを構築している。