研究テーマ設定の背景
身体運動科学における研究の魅力のひとつに、「運動時に身体にかかる衝 撃力を変化させながら、効果的な運動方法を模索すること」があります。 私は、現在、健康の維持・増進を目的とした、様々な条件下での運動(例:脚 にかかる衝撃力を軽減したランニング)が成り立つ仕組みを明らかにするこ とに興味を持って、研究を実施しています。
研究手法
運動時の生体力学的応答(筋肉の活動、関節の角度)、生理学的応答(酸素摂 取量、心拍応答)および主観的な運動強度等を評価しています。 調査対象や調査地についての解説 国内外の研究施設において、健康な一般成人やスポーツ選手などを対象と して、調査を実施しています。
分析のためのソフトウェアやツール
筋電図、呼吸代謝計測システムおよびSPSS(統計学的解析)などを使用し ています。
研究についてのこだわり
自分自身が、本当に興味を持った研究解題に取り組むことを心がけていま す。
研究生活で最もわくわくしたこと、 逆に最も落ち込んだこと
研究データを得ることが困難な実験(例:水中環境下での運動時に、筋肉の 活動を測定する)に成功したときや、全く予期しない応答を確認したときに は、興奮しました。
また、研究生活で、落ち込むことは、あまりありません。
大学院生へのメッセージ
L:Learn the language(専門用語を理解する、辞書を持ち歩く)
E:Enjoy learning(学ぶことを‘楽しむ’)
A:Ask questions(例:他の大学院生の調査をお手伝いさせてもらう)
R:Read, read, read(教科書・学術論文を読む)
N:Never give up on yourself(自分の能力に対して、限界を作らない)
(博士取得後研究員時代の指導教員から教わった『LEARN』)
大学院生の時何をしていたか
研究以外には、定期的に、運動(水泳)を楽しんでいました。
学際連携についての思い
ヒトの「健康」や「運動」について理解するためには、複 数のベクトルでの多角的な視野を持つことが重要であ ると考えています。学際的な研究プロジェクトを完遂す るためには、「他分野の研究(者)に対する尊敬」が必要不 可欠であると思います。
今後の研究・実践活動について
今後も、ヒトの歩行・ランニング動態(例:歩行・ランニ ング時の選好ペースの規定要因の探索)について、運動 生理学・生体力学的観点から、研究を実施していきたい と考えています。
おすすめの文献
○H.G. ウェルズ(著)・加藤まさし(訳)、「宇宙戦争」、 講談社(2002)

ランニング時の生体応答に関する研究の実験風景


活動概要
研究:健康の維持・増進や競技力の向上を目的とした、種々の身体運動が成り立つ機序についての理解(例:歩行・ランニング時の生体応答)に関する研究を実施しています。 教育:基幹教育では、健康・スポーツ科目(健康・スポーツ科学演習、身体運動科学実習)を担当しています。大学院人間環境学府では、健康・スポーツ科学に関連した科目(運動処方論、運動生理学、環境適応学等)を担当しています。 社会活動:ドーピング検査官として、主要競技会でのドーピング検査に参加してきました。