九州大学 大学院 人間環境学研究院

健康・スポーツ科学

健康科学

創刊にあたって    電子版(九州大学付属図書館)

内田 若希



斉藤 篤司



今野 道勝


産業革命以降の経済発展の代償として、私たちの社会は「大切な何か」を失ってきたのです。
しかし、日本にいると、とかく欧米だけに目が向きがちです。そして、この「大切な何か」が失われたことを、
ほとんど意識することはないと思います。
- あとがきより-

I.歩けなくなった日本人
   美しかった彼らの歩行姿勢
   距離の単位「スタジオン」
   山岳民族に見る優れた歩行能力
   なぜ歩くことにこだわるのか
   ヒトは長距離型の動物だった
   足は靴のためにあるわけではない
   カトマンズの散歩道で考えたこと
   日本の子どもたちは大丈夫か
   山村の人に多い善玉コレステロール
   健康の町・久山町の街づくり
II 虚弱になった日本人
   握力が強ければ体力もあるのか
   ネパール人の酸素摂取能力
   虚弱化はすでに若者たちから
   知っておきたい「適度な運動」の意味
   繁殖用の豚は運動をしていた
   日本人の血圧はなぜ高いのか
   まるで違っていた彼らの耐寒力
   なぜか薬ががよく効く人たち
   低下している日本人の視力と張力
   「文化と子育ては反比例する」
   鶏と卵と人間
III 錯覚してきた日本人
   生物学的な不潔と物理化学定期な不潔
   青い山脈があるということ
   肉体のバランス機能を測定して
   「見る祭り」に欠けているもの
   肉体のバランス機能を測定して
   日本人の大型化がもつもう一面
   質素な食事と豊かな食事の差
   問題が多い佐藤の多量消費
   動物性食品をうまく利用しているか
   虫歯がない人たちに出会って
   自給自足の村・コテンの住人


       まえがき
       あとがき
I. 運動不足の実態
     1 ほとんどの人が運動不足
     2 まず正しい知識が必要
     3 人間も動物の一員
     4 なぜ "歩行習慣"なのか
      伝統性/安全性/効果性/実現性/複合性
II.望ましい生活を考える
     1 生活の歴史に学ぶ
      望ましい生活/望ましいからだ/"いとぐち"を考える
     2 人類の進化と歩行能力
      猿人の時代まで/原人の時代以降
     3 採取狩猟民の歩行能力
      ブッシュマン/エスキモー/守られてきた伝統
     4 私たちの仮説
      採取狩猟民に適したからだ/全体性の原理/狩猟行動と狩猟類似行動/望ましい生活とは
III 現代人のからだ
     1 現代人の最大酸素摂取量(体力
      最大酸素摂取量(体力)/日本人とネパール人の比較/生活形態と最大酸素摂取量
     2 肥満と現代生活
      肥満の原因/肥満の判定/日本人とネパール人の比較/生活形態と肥満/日本人とネパール人の歩行能力の比較
     3 現代生活と成人病
      血圧の比較/HDL(善玉コレステロール)/トリグリセライド(中性脂肪)/コレステロール/虚血性心疾患
IV 歩行の効果
     1 運動の種類と内容
      運動の内容/運動強度と持続時間/相対的な運動強度/相対強度の目安
     2 最大酸素摂取量と肥満
      最大酸素摂取量/運動と運動強度/肥満と運動時間/運動と身体組成
     3 運動と血圧
      望ましい血圧/運動と血圧/運動の内容と血圧/動物実験の成果
     4 運動と動脈硬化・心疾患など
      運動と結成脂質/運動と心疾患/運動と糖尿病/その他の運動不足
V 歩行の生理学
     1 運動と呼吸機能
     運動と換気量/換気量の個人差/呼吸機能とトレージング
     2 運動と循環機能
     運動と心拍出量/心拍出量とトレーニング/運動と血圧/運動と血液配分
VI 歩行の実践学
     1 歩き始める前に
     早く歩くのが良いのか/コマ切れは無意味か/時間を作る
     2 歩き始めた後で
     歩行の姿勢/疲労と筋肉痛/暑さ寒さと運動/歩くと走る/登山とハイキング/歩行と健康観測
.

       まえがき
1. 今日的な健康問題の背景
     1.1 生物学的な進化と文化的な進化
     1.2 人間の自己家畜化
     1.3 進化の概要
   1.4 現代の採集狩猟民
     1.5 栄養と運動の歴史
     1.6 まとめ
2. 栄養と運動の現状(Ⅰ)―都市生活者の場合―
    2.1 栄養素摂取量の単位
     2.2 栄養素摂取量の性差・年齢差
     2.3 蛋白質と脂質の摂取量
     2.4 ビタミン類の摂取量
     2.5 ミネラル類の摂取量
    2.6 最大酸素摂取量など
   2.7 まとめ
3. 栄養と運動の現状(Ⅱ)―都市と山村の比較―
   3.1 伝統的な生活を求めて
     3.2 最大酸素摂取量
     3.3 ビタミン,ミネラル類の摂取量
     3.4 蛋白質,脂質などの摂取量
   3.5 体脂肪率と除脂肪体重
     3.6 血清脂質
     3.7 まとめ
4. 肥満と栄養と運動
     4.1 肥満度の指標
     4.2 体脂肪率の測定
    4.3 体脂肪率による肥満度の判定基準
    4.4 肥満の原因
    4.5 肥満者の栄養状態
    4.6 肥満の予防と解消
    4.7 まとめ
5. 望ましい体力
    5.1 体力とは
    5.2 体力のテスト
    5.3 最大酸素摂取量の測定
    5.4 望ましい最大酸素摂取量の値
    5.5 近代化・都市化と最大酸素摂取量
    5.6 まとめ
6. 適度の運動
    6.1 生活形態と最大酸素摂取量
    6.2 日本人とネパール人の歩行の実態
    6.3 適度の運動とは
    6.4 有酸素運動
    6.5 有酸素運動の効果
    6.6 まとめ
7. 血圧と栄養と運動
    7.1 高血圧とは
     7.2 生活形態と血圧(1)
     7.3 生活形態と血圧(2)
     7.4 肥満と血圧
    7.5 食餌と血圧
     7.6 運動と血圧
    7.7 まとめ
8. 動脈硬化と栄養と運動
    8.1 脳血管疾患(脳卒中)と栄養
     8.2 動脈硬化・心疾患
     8.3 生活形態とコレステロール
     8.4 コレステロールと栄養と運動
    8.5 HDL,トリグリセリドと栄養と運動
     8.6 虚血性心疾患と運動
    8.7 まとめ
9. 適切な栄養
    9.1 近代栄養学からみた適切な栄養
     9.2 進化論的な立場からみた栄養
     9.3 農耕・牧畜の開始と都市化の影響
     9.4 現代的な食生活の問題
    9.5 まとめ
10. 参考文献
11. 索 引



西村 秀樹